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2011年05月05日

「寿司屋水滸伝(その壱)」春風亭百栄の場合


春風亭百栄の落語 人間国宝への道・第一章



ゴールデンウィークということで(?!)、久々に、
超お薦めの新作落語を紹介します。
私の好きな噺家の一人である、春風亭百栄師匠の「寿司屋水滸伝」です。
この噺、知ってる方は知ってると思いますが、柳家喬太郎師匠が作った噺で、
当然、喬太郎師匠もやってる噺です。
細かいことは、次回、マクラの中で、百栄師匠が話していますので、
割愛しますが、新作落語でも、演出が違うと、
まるっきり、違った雰囲気の噺になるんだなぁ、という、いい見本というか、
こうやって、落語って進化していくのかなぁ、と感じる作品です。

マクラで、「春風亭栄助です」と言っていたので、まだ、二ツ目時代の
百栄師匠の音源です。
とにかく、何度、聞いても、笑える、面白い演出です。
あっ、喬太郎師匠の「寿司屋水滸伝」が面白くないとは、
一言も言ってません、はい。
喬太郎師匠の噺も、まず、間違いなく、誰でも笑えます。
百栄師匠の噺は、一部の人は、笑えないかもしれません(?!)。

前置きが長くなってしまいました。
では、どうぞ。
本日は、マクラの途中までです。



えー、ピンクレディーみたいに忙しくなりたい春風亭栄助です。
えー、どうぞ、よろしくお願いをいたします。
えーー、まぁ、一部のお客様はご存知かもしれないんですけどねぇ、
実は、私、えー、以前、アメリカに、ちょっと、長い間、滞在したことがございましてねぇっ。
えー、実は、あぁ、よく、あの、高座では、十年居たなんてことを言うんですけどもね。
実際の話は、えぇ、九年弱くらいなんですけど。
ま、とにかく、アメリカに、えー、住んでいたことは、間違いがないです、えぇ。
それくらい居たんですね。
あの、ほとんど、ロサンゼルスという、えー、ほんとに物騒な町に、居たんですけどねぇ。
で、あのぉ、その間ですね、何をしてたかと言いますと、
えー、まぁ、そのぉ、九年くらい間のぉ四年くらいはですね、
あの、お寿司屋さんに勤めておりましてねっ。
ずーっと、お寿司屋さんに居たんです。
あの、いわゆる、寿司バーと言われるとこですねぇ。
ま、そこでもって、まぁ、あのぉ、外国人の方を相手に、お寿司を握ってた訳です、えぇ。
これ、外国人相手ですよ、えぇ。
まぁ、とにかく、向こうで言うアメリカ人ですとか。
日本人は絶対に、あの、日本人には絶対に食べさせられない寿司を、...握っておりましてねぇ。
とにかく、あのぉ、ぜんぜん、あのぉ、寿司の経験なんか全くない訳ですからねぇ。
それで、向こうで、いきなり握った訳ですからねぇ。
ま、それでも、まぁ、そのぉ、九年くらい居た訳ですから、向こうに。
英語は、ペラペラなんじゃないのぉ、なんてこと、よく言われるんですけどねぇ、
そんなこと、ないです、えぇ。
それは、ないです。
英語ペラペラってことは、まぁ、ないですねぇ。
あのぉ、しゃべれないことはないですよ。
ただ、分かる話が、だいたい、あのぉ、寿司バーの中での会話という...。
それくらいしか、分からないんですね。
だから、一応、寿司のネタは、全部、一応、言えるとは思うんです、えぇ。
あのぉ、なんか質問されても、全部、答えられると思います、恐らくね。
えー、イクラとかね、えぇ。
サーモンロー(salmon roe)とか言うんです、ねぇっ。
知ってるでしょ、よく、ねっ。
サーモンのことは、まぁ、サーモン。
ぅっふふ、それくらいのことは、分かるんです、えぇ。
その他にもねぇ、ハマチ。
イエローテイル(yellowtail)とかね。
えー、それぐらいのことは分かるんです、えぇ。
でも、寿司ネタしか、知らないもんですから、
ほとんど英語は、もう、しゃべれないというような状態でねぇ。
で、まぁ、どれくらい英語が、できなかったかと言いますとねぇ、
これは、あの、象徴的な事件が、ございましてねぇ。
あのぉ、実は、あの、私も、一応、向こうで、一生懸命、勉強して、あのぉ、
アメリカで免許を取りまして、で、まぁ、車も持ってたんです、えぇ。
向こうで車、買いましてね。
で、まぁ、駐車場の上の方に停(と)めといて、で、まぁ、帰ろうてことんなって、
グルグル、グルグル、回りながら、こぉ、運転してたら、ねっ、駐車場ん中を。
そしたら、ある一箇所、行きましたらねぇ、あのぉ、女の方が、女性の方がですね、
車の下に、こぉ、手を突っ込んでね、なんか、ガチャガチャ、ガチャガチャ、やってるんですよ。
なんか、大変に困ってらっしゃるらしい。
すごい、一生懸命、ガチャガチャやってるんですよ。
あっ、これは、助けなくちゃいけないなぁ、と思ってね、あの、声を掛けようと思ったんですけどもねっ。
まっ、この方は実際、何をしてたかと言いますと、あのぉ、車のキーをインロックしてしまいまして、
で、その予備のキーが、この、車の下に、こぉ、箱に収めて、磁石で、パッと付けてあるんですねっ。
で、それを、こぉ、一生懸命、こぉ、取ろうと、してたんですよ。
で、この女性の方というのは、これが実はですね、あの、日本人の方なんです。
日本女性なんです、この方が、えぇ。
まったくの、日本人の女性の方なんですよ。
そんなことは、僕は、分かりませんよ、ねぇっ。
後ろから見てるだけですから。
日本の方とも、なんとも、分からない。
だから、まぁ、困ってるだろうなと思って、僕は普通に、アメリカ流に、ごく普通に声を掛けたんです。
まぁ、車を停めて、窓を下ろして、
「ホワッツ、ハップン(What's happen)?」
つったんです、ねぇっ?
「ホワッツ、ハップン。」
て、訊いたんです。
そしたらぁ、その方がですね、その方が、私のことを一目も見ないですよ。
相変わらず、車の下に手を突っ込んで、ガチャガチャやりながら、...。
「あの、実はですね、.... あの、車のキーがですねぇ、あの、インロックしてしまいまして。」
....、あのですね、僕は、ホワッツ、ハップンて訊いたんです。
それに対する答えが、実はですねぇ、て。
あの、僕のホワッツ、ハップンは、そんなに、大和言葉ですか?
そんなに、日本人、日本を象徴するような言葉ですかねぇ。
そんなに分かりやすいホワッツ、ハップンだとは思わなかったんですよ。
ま、それくらいなんです。
それくらい、英語ができなかった訳でございますよ、えぇ。



この部分、割愛してもいいかなっ、と思ったのですが、本編で、この部分が前フリに
なっているので、...。
では、続きを、お楽しみに!


posted by 鯨韻亭与太郎(げいいんてい よたろう) at 17:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 新作落語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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